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保全状況の概要
2018年現在、ペンギンはレッドリストの定義上、6属18種が生存しています。18種類と聞くと多いように思えますが、過去に絶滅している種も居ます。
絶滅種の代表的なペンギンには”ジャイアントペンギン”がいます。ジャイアントペンギンは全長が約140~160cmと、現存種最大のコウテイペンギンよりも数段大きいです。
ジャイアントペンギンは数千年前に絶滅しているので人間の存在は関係ありませんが、現代に絶滅した生物、現在絶滅の危機に瀕している生物は少なからず人間の影響があります。
かつて北半球に生息したオオウミガラスというペンギンと似た種は、羽毛や卵の乱獲によって絶滅しました。人間は地球上の生物達を極力滅ぼさないように努める必要があるでしょう。そんな生物達、自然を守るために国際自然保護連合(IUCN)という世界的な保護団体があります。
国際自然保護連合(IUCN)
IUCNは1948年に創設された国際的な自然保護団体です。本部をスイスに持ち、国家、政府機関、NGO等を会員としていて日本の環境庁も加盟しています。
IUCNは絶滅の恐れがある生物・絶滅した生物をリスト化し、作成した情報を公開しています。絶滅の危険度・評価によりカテゴリーを振り分け、そのカテゴリーは2018年現在、下記の9種類で定義※されています。
※レッドリストver.3.1での定義
- EX (Extinct)・・・絶滅
- EW (Extinct in the Wild)・・・野生絶滅
- CR (Critically Endangered)・・・深刻な危機
- EN (Endangered)・・・危機
- VU (Vulnerable)・・・危急
- NT (Near Threatened)・・・準絶滅危惧
- LC (Least Concern)・・・低懸念
- DD (Data Deficient)・・・データ不足
- NE (Not Evaluated)・・・未評価
それぞれの詳しい意味合いは下記になります。
レッドリスト区分
EX(絶滅)
確認できている個体が全て死ぬこと。種が途絶えること。
EW(野生絶滅)
野生環境下で個体が全て死ぬこと。種が途絶えること。
CR(深刻な危機)
個体数が極めて少ない、又は今後絶滅する可能性の高い種。3世代以内に個体数が80%以上減少した種。
EN(危機)
絶滅する可能性の高い種。3世代以内に個体数が70%以上減少した種。
VU(危急)
絶滅の危険性が高い種。野生絶滅の危険性が高い種。3世代以内に個体数が30%以上減少した種。分布が極めて限定されている種。
NT(準絶滅危惧)
直ぐに絶滅する危険性は低いが、将来的に絶滅する危険性がある種。
LC(低懸念)
絶滅する危険性の低い種。分布が広い種。個体数の多い種。
DD(データ不足)
調査は行われたが、データが不足している為、NEを除く他のカテゴリーに当てはめれない種。
NE(未評価)
調査が未だ行われていない種。
絶滅の危機に瀕しているペンギン
レッドリストはIUCNにより定期的に区分、評価基準の見直しが行われています。現在はCR、EN、VUが赤系統の”絶滅危惧”にグループ分けされています。
レッドリストの中で特にEW(野生絶滅)と、CR(深刻な危機)グループは絶滅を避けるために厳重に観察、保全をしていく必要があります。それではレッドリストでペンギン達はどのようにカテゴライズされているか見ていきましょう。
LC(低懸念)が7種居るのが嬉しいです。CR(深刻な危機)以上は該当種が居ないため、EN(危機)の5種を見ていきます。
1.キタイワトビペンギン
イワトビペンギンはミナミイワトビペンギンのカテゴリがVU(危急)に対し、キタイワトビペンギンのカテゴリがEN(危機)になっています。キタイワトビペンギンは1940年代には数百万羽生息しておりましたが、現在の生息数は50万羽程度なのです。
北と南で環境が異なりますので、その影響で差が出ているのでしょうか。又、2011年の重油事故により3,000羽以上が死んでいる悲しい事故も起こっています。
2.シュレーターペンギン
シュレーターペンギンの現在の生息数は十数万羽です。分布域はニュージーランド周辺の諸島になります。キタイワトビより大分少ないです。
3.ケープペンギン
ケープペンギンはアフリカ大陸に唯一生息するペンギンです。生息数は1920年代の200万羽以上から現在は10万羽以下になっており、専門家の間では最も絶滅の危険性の高い種と言われ、減少の要因は漁業による餌(魚・イカ等)の乱獲や海流の変化とされているようです。
4.ガラパゴスペンギン
ガラパゴスペンギンはコガタペンギンの次に小さい種で、ガラパゴス諸島のみに生息する固有種です。全種の中で最も生息数が少なく、現在の生息数は1,000羽程度となっています。
野生で1,000羽というのは恐らくかなり少ないですね。生息域が赤道付近の為、エルニーニョ現象による海域の変化が減少の要因になっているようです。
5.キガシラペンギン
キガシラペンギンの現在の生息数は2,000~3,000羽程度。ニュージーランド南島、周辺の諸島に生息しています。森林の中で営巣する種ですが、生息地の伐採も減少の要因となっているようです。
総括
ざっくりと追っていきましたが、種の減少の要因は人間によるものと海域の変化など自然的なものとの両方が存在しているようですね。過去のレッドリストと見比べると区分が改善している種も居ます。
どのペンギンも滅びないで平和にのんびりと暮らしてほしいものです。長い目で見ると将来、種が増えるということもあるかもしれません。ひょっとしたら今現在発見されずに生息している新種がいる可能性もありますね。